【永遠の論争】『電子書籍vs紙の本』どっちがいいのか本気で考えてみた

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電子書籍の登場で一時期は絶滅が危惧された紙の本。今なお紙の本が絶滅していないのは、電子書籍にはない紙の本のメリットが確かに存在しているからだ。
紙か電子かの論争が続いて久しいが、実は二者択一の問題ではない。それぞれのメリット・デメリットを踏まえた使い分ることが重要だ。
この記事では、各要素についてそれぞれのメリット・デメリットを提示した後、筆者の使い分け基準を示す。
最終的な基準は人それぞれ。あなたの基準の参考になれば幸いだ。

 

 

こんな人におすすめ

・いつも電子書籍を読んでるけど、紙の本の良さも捨てがたい人
・紙の本が好きだけど、電子書籍も気になる人
・どっちで統一しようか悩んでいる人
電子書籍と紙の本の使い分け方を知りたい人

 

 

基本的な考え方

紙の本と電子書籍では、それぞれにメリット・デメリットがある。どちらか一方だけの運用では、もう一方のメリットをそのまま捨てることになる。

大切なのは、両方をうまく使い分けること
そのためには、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分にとってどの要素が重要なのかを見直す必要がある。
その上で、自分なりの基準を決めて、本の種類によってどちらを選択するかを決めておくことが重要だ。

 

要素ごとに評価

1 省スペース性

紙× 電子○
電子書籍なら、小さなスマホタブレット端末などの中に、数百冊といった単位で本を保存できる。
本棚をなくして部屋をスッキリさせたいミニマリスト志向の人にピッタリだ。

それに対して、紙の本で数百冊という単位の本を保管するのには、大きな本棚が必要になる。
また、並べた本の上にはホコリが溜まったりして、掃除の手間も結構かかる。

省スペース性については、電子のほうが優れていることは一目瞭然だ。

ただし、本がずらりと並んでいることに悦に浸る感覚を持つ方もいるだろう。
自分が好きな本、好きな作家の本を所有していることの満足感も捨てがたい。

省スペース性と所有欲と、どっちが自分にとって重要か検討する必要があるだろう。

 

2 所有権

紙○ 電子×

電子書籍は、サービスが終了するなどの理由で購入した本が見られなくなるリスクがある。
これは、電子書籍はで購入しているのは所有権ではなく、閲覧権だからだ。
これまでに終了したサービスは、おそらくあなたが想像している以上に多い。
終了する場合には、返金やダウンロードでの閲覧の継続、他サービスへの引き継ぎなど、なんらかの対応が取られるのが一般的である。
しかし、通常その対応方法は選択できないし、サービスによっては対応がない可能性も否定できない。
一方で、所有権を買っている紙の本ならそうしたリスクはない。

ただし、紙の本にも閲覧不能状態になるというリスクは存在する。
水害や火災などの自然災害のほか、バケツを引っくり返すとか、身内に全ての本を売却される場合もあろうだろう。
単体で見ても、紛失や盗難などのリスクがある。
これらは、逆に電子書籍には存在しないリスクだ。
電子書籍の端末を紛失・破損したとしても、新たな端末を購入し再度ダウンロードすることですぐに原状復帰できる。

サービス終了と災害を比べて、どっちがリスクが高いかは判断が難しい。
このあたりが心配な方は、蔵書が全て消失してしまった場合に、買い戻す必要がある本はどれくらいあるか、考えてみてほしい。
思ったより必要な本が多くないと気づく方が多いのではないだろうか。

 

3 運搬性(外での読書)

紙× 電子○

運搬性は省スペース性と相関が高く、数百冊を持ち運べる電子書籍に分がある。

外でのちょっとした空き時間に、本を読みたくなる時がないだろうか。
そうしたときに、電子書籍ならスマホなどから閲覧ができる。

対する紙の本は、そうした場合に備えるためには常に本を持ち歩く必要がある。
紙の本一冊くらいの重さなら気にならないという人もいるだろうが、本をかばんに入れていると本が折れたり汚れたりして、状態は確実に悪化する。
さらに、かばんをいくつか使い分けている場合、本をかばんに移し替え忘れたなんてこともある。

その点、ほとんどの場面でスマホは持ち歩いているだろうから、心配が少ないのは電子書籍の方だろう。

 

4 ブルーライトの少なさ(夜間の読書)

紙○ 電子△

寝る前に読書をする人にとっては、ブルーライトの照射が少ないことはとても重要な意味をもつ。
ブルーライトの照射が覚醒を促し、睡眠の質が悪化してしまうからだ。

ブルーライトの少なさについて考えると、基本的には紙に軍配が上がる。
画面から光を照射する電子機器に比べて、光の反射で読む紙のほうが目に優しくブルーライトも少ない。

しかし、実は電子書籍もその対策は進んでいる。
通常の電子機器は背面から光を当てその透過光で文字を読むバックライト式を採用している。
それに対して、液晶前方から光を照らしてその反射光で文字を読むのがフロントライト方式だ。
これにより、電子機器と言っても、紙で文字を読む状況と大きな差がなくなっている。

このフロントライト方式の代表格は「kindle paperwhite」という機種だ。
この機種はとてもバランスがとれたいい機種なので、別の機会で紹介したい。

 

ただし、同じ光であれば照射光より反射光の方がブルーライトの量が減ることは確かだが、本当に大事なのは光の強さだ。
煌々と明るい部屋と、間接照明による薄暗い部屋とでは、紙が反射しているブルーライトの量は同量ではない。
反射光のブルーライト量は、光の強さに比例する。

つまり、紙で読む場合も部屋の明るさに配慮が必要だし、一定以上明るい部屋での紙の読書よりも、明るさを抑えたフロントライト式電子機器の方がブルーライトが少ないという場合はあり得る。

 

5 防水性(風呂での読書)

紙× 電子○

防水性のある電子書籍端末ならば、風呂での読書が可能だ。
kindle paperwhiteは防水性も備えていて、隙がない良機種だ。

紙の本でも、袋に入れて風呂で読書をすることが可能だが、圧倒的に扱いにくく、読みにくい上に、袋に水が侵入してしまうリスクもある。

睡眠の質を上げるのに入浴は重要な要素だが、手持ち無沙汰だと体がしっかり温まる前に風呂から出たくなるし、ずっと何もしないで湯船に使っているのも勿体ない気がする。
そんな方には、風呂での読書週間は一つの解決策になる。
風呂での「何もしない時間」を大切にしている人もいるだろうが、風呂での読書を行う人には必須の機能といえる。

 

6 価格

紙× 電子○

電子書籍は紙の本に比べて安いことが多い。一定以上の量の本を読む人にはこの恩恵が効いてくる。

もちろん、紙の本は売ることが可能なので、程度の値段差を回収することができる。
しかし、売却価格はその本が発売されてからの日数が大きく影響していることが多い。
「最新の本」を「すぐに読んで売る」場合にはある程度の値段がつくが、少し昔の本などの場合には大した値段はつかない。
売りに行く手間などを含めても、基本的に値段面では電子に軍配が上がるだろう。

 

7 入手性

紙× 電子○

電子書籍は家にいながら即時購入が可能で、読みたい本をすぐに読むことができる。

紙の本は、本屋に在庫があったとしてもそこまで出向く手間がかかるし、ネットでも届くまで時間がかかる。
amazon primeなどを利用していれば、それも最小限に抑えられるが、即時購入と比べると、やはり利便性に劣る。

しかし、本屋に行くのが楽しいという人も多い。
大量の本が陳列されている棚を見ることで、いろんな分野・いろんな切り口の本が目に入ってきて、自分の興味・関心が広がるという面もある。
そうした体験は、電子書籍ではなかなか味わえない貴重な体験だ。
電子書籍中心の人でも、たまに本屋に行ってみることをお勧めしたい。

 

8 本を読むときの理解度

紙○ 電子△

理解において、読書よりも紙の方が優れていると言う説がある。
反射光と透過光で、脳の認知モードが切り替わるというのが根拠だが、その説に対する批判も多くある。
GIGAスクール構想に代表されるように、日常生活における電子化は加速度的に進んでいる。媒体による理解度の差については、さらなる科学的な研究が各方面から期待される。

ここからはあくまで私の感想。
私の読書のやり方に照らし合わせると、紙の本のほうが使い勝手がいいと感じている。

一覧性が高いというのか、俯瞰的な読み方が可能になるというのか、紙と電子では読み方が変わってくると思うのだ。
私は読書中に、自分が今どこにいるのかを理解するために見出しまで戻ったり、目次を見返したりすることを頻繁にする。
ちょっと前の内容を見返したくなって、そこまで戻って読むこともある。
そうした時は、パラパラとめくって移動できる紙の方が圧倒的に便利だと思うのだ。

電子書籍でも目次に移動することは一応できるし、UI次第で解決できる部分もある。
もしかしたら、記憶力がいい方や、自分がどの見出しの文章の中にいるのか常に意識できる方にとっては、こうした読み方は不要なのかもしれない。
または、紙と電子の理解度の差は、ただの慣れの問題の可能性もあり得る。

だから、紙の本のほうがよく理解できるという私の見解が、他の方にも当てはまるかは分からない。
科学的な研究成果が蓄積されるまでは、どっちの媒体の方が理解度が高いかは自分で試して判断するしかないのかもしれない。

 

9 記録性

紙△ 電子○

電子書籍は気になった箇所にマーカーをつけたり、マーカーをつけた部分をまとめてテキストデータに書き出したりする機能があって、利便性は高い。
本の内容をメモしたいときも、紙の本は開いた状態を維持するのが大変でメモを取りにくいが、電子書籍なら書き写しなどもやりやすい(スリープ時間を短く設定している方は注意)。

紙の本でも、書き込みをすることに抵抗がなければマーカーや書き込みは可能だ。しかし、それを編集する機能においては電子書籍に敵わないだろう。

 

10 電子書籍に合わない本の存在

紙○ 電子×

電子書籍に合わない本が存在する。
その例として、絵や図などが多いもの、見開き前提の構成のもの、文字情報じゃなくて画像情報として配信される本などが挙げられる。

これはもはや超えられない壁だ。
こうしたものを電子書籍で読むことにメリットはない。
どうしても電子書籍で統一したい人でなければ、素直に紙の本を購入することを勧める。

電子書籍で本を買う場合は、事前にサンプルで表示チェックをして電子書籍に合った本なのか確認してほしい。

 

結論

この記事では、さまざまな要素について、紙の本と電子書籍のメリット・デメリットを検討してきた。
これらを読んで、思ったことは人それぞれ違うはずだ。
それは、人それぞれ読書スタイルが違うからだ。

夜に読書をしない人はブルーライトにあまり関心がないだろうし、ミニマリズムを徹底している人には省スペース性こそが最重要だろう。

だから、まずはどの要素が自分にとって重要なのかを見直すことが必要だ。
その上で、その特徴を活かせる媒体をベースとしながら、もう一方の媒体のメリットも享受していくのが合理的だ。

 

筆者の場合

私の読書の目的は、本を読んでその内容を理解・実践し、自分の人生に役立てることだ。
読んで理解しやすく、実践するのに有用であることが最重要だと考えている。

そのため、電子書籍の様々なメリットを踏まえても「紙の本を読んだときの理解度の高さ」の要素は捨てられない。

しかし、そこまで理解の深さや実践を求めず、気軽な気持ちで読む小説などについては、電子書籍でいい。
細切れの時間や、風呂などの時間で読むのにはおあつらえ向きだろう。


このような理由で、私の使い分けの基準は次のとおりだ
紙の本 
スキルもの、人と共有する可能性があるもの、後々まで残したい本
電子書籍 小説など気軽な気持ちで読む本

 

まとめ

さて、いかがだっただろうか。
それぞれの要素の評価について、納得できないという感想もあるだろう。
ここに書いてない要素でのメリットデメリットも挙げられるだろう。

そうした意見があればぜひコメント欄で教えてほしい。
それらの内容を受けて、私の考え方をアップデートしていきたいし、その作業を通してより多くの人の参考になる記事になれば幸いだ。

電子書籍と紙の本を効果的に使い分けて、良い読書ライフを!